ONLIFE UM-10mkII 修理 2A3 モノラル パワーアンプ 愛知県 N様
ONLIFE Research UM-10mkII モノラル パワーアンプ2台の修理。
1台目は、電源トランスの1次側と2次側間の絶縁不良による漏電の改善修理と改造を元に戻す作業、劣化部品の交換等を行いました。
2台目は、改造を元に戻す作業と、2台の特性を揃えるため、1台目と同じ部品に揃えるための整備を行いました。
このONLIFE UM-10mkIIは、本体トランスの刻印の日付から、1台目は1973年(昭和48年)頃、2台目は1974年(昭和49年)頃の製造と思われます。この1年の間にトランス端子が廃止され、リード線タイプに仕様が変更されたようです。
この時代は、既にトランジスタ式アンプが普及していましたが、マニア向けの管球式アンプも共存しており、オーディオ全盛期の時代だったと思います。1975年(昭和50年)には、縦型FET(VFET・SIT)という、真空管の動作と似たトランジスタが開発され、真空管とトランジスタのハーフのような位置付けのアンプがありました。
使用真空管:12AU7 / ECC82(x2)、2A3(x2)、整流管なし(ダイオード整流)
【状態および修理内容】
- 電源トランス内部で1次側線(商用電源)と2次側線(B電源側)の被服が破れて絶縁不良となり、漏電していました。各線の被服も劣化しており、容易に破れてしまう状態でしたので、全ての線にガラス編組の耐熱シリコンチューブを被せて、絶縁状態を確保しました。結果、漏電は解消しました。
溶断した線を修理して、電源トランスの正常動作を確認しました。 - UM-10mkIIの図面にない部品が追加されていますので、過去に改造・修理歴があるようです。しかし、半世紀前のブロックコンデンサが使われており、いつ液漏れが生じても不思議ではない状態のため、この機会に全て新品交換しました。尚、ブリッジ整流後、大容量のコンデンサが追加されていましたが、整流器の負担軽減のため撤去しました。
- 出力管2A3周りの整備を行いました。耐圧が低い電解コンデンサを図面で指定されているものに交換しました。
- 片方の2A3フィラメントの並列抵抗をラグ版で固定するかたちにして、精度が高い抵抗でセンターを取るようにしました。もう一方の2A3フィラメント並列可変抵抗を調整して、ハムが最小になるように調整しました。未使用の部品を撤去しました。
- 出力管の2A3には多少の劣化はあるものの、直ちに交換が必要な状態ではないため、継続使用いたします。
ONLIFE UM-10mkIIは、自己バイアス式ですため、容易に真空管の交換が可能です。 - ドライブ段が別の真空管に置き換えられていました。お客様とご相談の結果、本来の仕様である12AU7に戻しました。それに伴い真空管ソケットの配線や抵抗、コンデンサも変更して、元の仕様に戻しました。
- ドライブ段の真空管を新品の12AU7(ECC82)に交換しました。
- 初段周りの抵抗も元の仕様に戻しました。
- 初段の真空管からノイズが出ましたので、新品の12AU7(ECC82)に交換しました。
- 2台目のONLIFE UM-10mkII の作業内容は、1台目と同じ仕様で、同じ部品に揃えました。
以上の修理により、ONLIFE UM-10mkII 2台の正常動作を確認しました。
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- 真空管アンプ修理・補修
- 2022/10/04 17:00
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