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真空管レシーバー修理・フォノアンプ増設
真空管ラジオ修理ドットコムでは、通常の真空管レシーバー修理だけではなく、新たにフォノアンプ(RIAAイコライザーアンプ)を増設して、現在普及しているレコードプレーヤーで、レコード再生を可能にする改造・改修のご相談も承ります。
真空管レシーバーや多くの真空管ラジオは、当時主流だった”クリスタル型ピックアップ”用のフォノ入力端子を装備しています。しかし、クリスタルピックアップは、特に経年劣化しやすく、現在では入手困難なピックアップです。
レシーバーにPHONO入力端子があっても、クリスタルピックアップ仕様のままでは、現在普及しているレコードプレーヤー(MM型カートリッジ)を接続しても、ピックアップの出力レベルが足りないため、LP/EP再生できません。
しかし、”MM型カートリッジ”用のフォノアンプを増設することで、現在普及しているレコードプレーヤーの接続が可能になります。真空管レシーバーで、懐かしいLPやEPを、もう一度お楽しみください。
パイオニア(Pioneer)ステレオマスター SM-B180 修理
ラジオ1(左チャンネル)音声が出ない故障の修理
この真空管レシーバーの主な故障は、2台搭載されているAMチューナーのうち、チャンネル1(左側)のチューナーが動作しないというものでした。
調査の結果、入力切り替え用のロータリースイッチと、真空管ソケットの接触不良が原因であることが分かりました。
このロータリースイッチは、音声切替の他、チューナー回路B電源の切替えも同時に行っているため、このスイッチが正常に動作してONにならないと、ラジオの真空管が動作しません。
ロータリースイッチは接点清掃と接点バネ圧調整を行い、真空管のピンも全て磨き、接触不良を改善しました。これでラジオが動作するようになりました。しかしながら、更に以下の不良が見つかりました。
ラジオ1受信感度低下の修理・調整
マジックアイ 6GE12A 動作しない故障の修理
レシバーのダイヤルを合わせても、マジックアイ(同調指示管)6GE12Aが正常に動作しない(表示が殆ど動かない)故障が見つかりましたので、マジックアイ周辺を調べて行きます。
調査の結果、同調時に現れるAVC電圧が、マジックアイ(同調指示管)ソケットまで流れて来ない点と、マジックアイのソケットに取付けてある抵抗(写真右)が断線していることが分かりました。
AVCをマジックアイへ供給する部分に使われているバイパスコンデンサーが、絶縁不良で電圧が下がっていました。このコンデンサーと、断線抵抗をl交換して、マジックアイは正常に動作するようになりました。(写真左は、ラジオ2のものですが、ラジオ1も同様の故障で修理済です。)
プリアンプ(トーンコントロールアンプ)修理
【トーンコントロール アンプ修理】
トーンコントロールのツマミを動かすと、スピーカーが大きく前後に振幅する故障が見つかりました。
この症状は、直流(DC)電圧が可変抵抗器(BASSやTREBLEのボリューム)に流れている場合に起こります。超低周波ノイズのため、大きな雑音として耳に聞こえませんが、実際はフルパワー近くの低周波ノイズが出力されており、スピーカーを壊してしまう場合があります。
調査の結果、プリアンプ初段のカップリングコンデンサの絶縁不良であることが分かりました。過去に修理した跡が見受けられ、片側チャンネルのみ”故障部品を残したまま”直列にマイラコンデンサが接続されていました。
この真空管レシーバーはステレオですから、左右両チャンネル同じ部品を同じ方法で使用しないと、特性が揃わないため、両チャンネル同じ部品に交換して、不要になったマイラコンデンサは撤去しました。
【プリアンプ修理】
プリアンプ入力のカップリングコンデンサ(緑)2個(1ch・2ch)と、プリアンプ出力のカップリングコンデンサ(赤)2個(1ch・2ch)が、経年劣化のため絶縁不良になっていました。
特にプリアンプ出力のカップリングコンデンサの絶縁不良は、メインアンプ段に直流(DC)電圧が流れ込み、音が歪むなどメインアンプ(真空管 6BM8)動作の大きな障害となっていました。
この全てのコンデンサを、(写真右)高性能なメタライズドポリエステルフィルムコンデンサに交換修理しました。
ラジオ(チューナー)を含めて、これまでの修理の結果、パイオニア SM-B180に使用されているオイルコンデンサは、全てが絶縁不良の状態になっていましたので、全てを新品交換する修理となりました。
フォノアンプ増設・改造
真空管レシーバー Pioneer SM-B180のフォノ入力は、ピックアップ出力が大きい”クリスタル型”用のPHONO端子です。クリスタル型ピックアップは、イコライザーアンプを使わず、簡単にレコード再生ができるため、当時は家庭用として普及しました。
しかし、このクリスタルピックアップ(カートリッジ)は、耐久性がなく、現在は入手困難です。そこでデジタル時代でも入手しやすく、現在普及しているMM型カートリッジでレコード再生できるように、フォノアンプ(RIAAイコライザーアンプ)を増設する改造を行います。
写真左は、フォノアンプ(イコライザーアンプ)増設前のものです。
写真右は、フォノアンプとフォノアンプ専用電源を増設した後の状態です。
フォノアンプ電源は、真空管の負荷電流変動の影響を受けるB電源(高圧電源)を使用しない独自の回路で、安定した電源を供給しています。
電圧切替スイッチ接触不良改善・ゴムブッシュ交換
修理完了後の真空管レシーバー内部と交換部品について
真空管レシーバー パイオニア ステレオマスター SM-B180 修理完了時のシャーシ内部(写真左)と交換部品および撤去部品(写真右)の画像です。
シャーシ内部の画像で黄色の部品は、絶縁特性がとても良い『メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ』に交換したものです。
写真右のグレーと黒色の部品は、プリアンプの動作不良原因となっていたオイルコンデンサです。
メインアンプ1(左チャンネル)の真空管(出力管)6BM8 は、経年劣化で出力が低下していたため、新品の真空管に交換しました。
メインアンプ2(右チャンネル)の真空管(出力管)6BM8 は、測定の結果、使用可能範囲内でしたため、交換の必要はございません。真空管ラジオ修理ドットコムでは、修理コストを抑えるため、劣化していたメインアンプ1(左チャンネル)の出力管6BM8のみ交換しました。
尚、お好みで左右同時交換をご希望される場合は、『マッチド真空管 6BM8 ペア』をご購入いただき、真空管の抜き差しだけで簡単に交換できます。より豊かなお気持ちで、懐かしい音を、お楽しみいただけます。
修理完了後の真空管レシーバー外観と説明
MM型カートリッジ用フォノアンプ増設(改造)を行った場合、クリスタル型ピックアップは使用できなくなります。
真空管レシーバーの修理・修復・改造(フォノアンプ増設)のご注文は「修理申込方法(サービスご利用規約)」をご覧ください。